お休み処「わびすけ」

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酒(焼酎)談義

猛暑の日が長く続き、夏の日差しに閉口していると、突然曇りや雨模様の日が半月以上も続き、その最後には莫大な量の雨が降り、鬼怒川の堤防は決壊しその周辺に甚大の被害をもたらした。朝起きて澄んだ青空の向こうに富士山を望むことができたような気がする。すぐに、秋の季節が訪れてくれても大歓迎である。秋が肌で感じられれば、私はいつでもビールから酒・焼酎への衣替え(?)の準備はできている。

酒といえば、宮崎県日向市出身の若山牧水が頭に浮かぶ。酒を愛し、旅を愛し、自然を愛した国民的歌人、若山牧水である。彼は若山家の長男であるがゆえに、父の後を継いで医者の道に進むのか、文学の道に進むのか、進路についてはかなり悩んだそうである。しかし、どうしても文学の道を捨てきれず、牧水は早稲田大学文学部に入学したのであった。

yjimageOY4J1CAH「幾山河 超えさり行かば寂しさの はてなむ国ぞ 今日も旅ゆく」の歌は有名であるが、私は「白玉の 歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり」といった歌も忘れ難い。

酒といえば一番先に頭に浮かぶのが「日本酒」であろう。冷酒で飲む日本酒は別格である。しかし、秋が過ぎ冬になると熱燗も捨て難い。とは言うものの、現在「糖尿病予備軍」と主治医に脅かされている私は、いまは焼酎を愛飲している。それも奄美諸島特産の「黒糖焼酎」をロックで。

戦中は酒も配給制になり、水で薄めて(所謂「金魚酒」)飲んだ人も多かったという。

独り酌む この薄酒のひや酒も のめば酔うもの 水よりは濃き(岡本大無)

私の持論であるが、酒・アルコール類は生一本で飲むべきだと思っている。それを水やお湯、炭酸水や清涼飲料水等で割って飲むのは、酒の本当の味が解らないどころか贅沢な飲み方だと思っている。

黒糖焼酎は、その名の通り黒糖を主原料とした焼酎であるが、ラム酒との違いは米麹を使っているか否かだけだそうである。黒糖は本来、米麹なしにアルコールを生成できる。しかし、黒糖焼酎の条件は米麹を使用することである。米麹を使わないと、サトウキビが原料の蒸留酒であるラム酒と同じ酒になり、酒税法上もスピリッツ(アルコール度数が45度以上)扱いになってしまうからだそうである。これらの酒類が消費税10%増税時には、負担軽減税率の対象から除外されそうである。なんとも寂しい限りである。

しかし、仲間外れにされても焼酎をロックで美味しく飲んで、その憂さを晴らそうではありませんか。yjimage2VZGK2FHその秘訣は、「まずい」うえに「溶けやすい」冷蔵庫の氷ではなく、美味しい氷を使うことである。コンビニなどでも手に入るロックアイスを使うのである。

そしてロックグラスに大きめの氷を入れたら、焼酎を注ぐ前にグラスの氷をスプーンなどでステアし、溶けた水を捨てる。こうするとグラス内面の表面温度が下がるため、この先、氷がゆっくり溶けるようになる。焼酎を注ぐときには、氷にゆっくり当てるように注ぐ。こうすることで常温の焼酎を冷やしながら注ぐことができる。濃く深い味わいの焼酎を、溶けた水でゆっくりとなじませて飲むロック。時間を楽しむように、粋に行きたいものである。《焼酎の基本・枻(えい)出版社》

私のブログの読者の一人に田城さん(女性)が居られる。田城さんは、平塚・明石町で「食彩酒房・あおば」も経営なさっている。この生意気な拙文を読んで、次回の入店を断られなければとヒヤヒヤしながら筆を置く。

伊藤 克之