10日ほど前のことである。日本経済新聞を読んでいると、ある会社の社員が紹介されていた。「宮广」さんという方である。しかし浅学の私には、初めて見るこの苗字を何と呼んだらよいか解らなかった。調べてみると「みやま」と読むのだそうである。ニコニコ大百科によると、この苗字は全国でも10人程度しか存在せず、順位からゆくと86,062位の珍しい苗字であることが解った。
さらに珍しい苗字を調べてみた。雲母(きらら)、回り道(まわりみち)、凸守(でこもり)、榮倉(えいくら・この苗字の女優さんはテレビでよく見かける)、蓼丸(たでまる・女優綾瀬はるかの本名は蓼丸綾さん)、小浮気(おぶき)、辺銀(ぺんぎん)、蟋蟀または興梠(こおろぎ・この方は確か平塚にもいらしたと記憶している)、猫屋敷(ねこやしき)、人首(ひとかべ)、百目鬼(どうめき)、七五三田(しめた)、五六(ふのぼり)、勘解由小路(かでのこうじ)、御薬袋(みない)、降魔(こうま)、奉日本(たかもと)等々日本には数世帯しか存在しない苗字とのことであった。さらに邪答院(けんとういん)、野ざらし(のざらし)、さんにあっては1世帯しか存在しないらしい。
そこで夏向きの苗字を調べてみた。葉月、日傘、金魚、素麺、氷、七月の季節にまつわる苗字には、中元、天川、天神、祇園、七夕、海、土用、鰻、朝顔などが出てきた。さて、読者の皆さんはどの位読むことができたでしょうか?
さらに珍しい苗字、判読が困難な苗字を調べた。「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読むそうである。小鳥が遊ぶ→天敵がいない→鷹がいない→たかなしとなったそうである。このような論法でゆくと、「月見里」と書いて「やまなし」と読むのは何とか理解できそうである。「南足」と書いて(きたまくら)、「栗花落」(つゆり)は、栗の花が咲く頃梅雨入りすることから、梅雨入り→つゆりとなったそうである。
だんだん難しくなってきました。「一」と書いて「にのまえ」、「九」と書いて「いちじく」、「十」と書いて「つなし」と読む。これは、一つ、二つのように数える時に、十は「つ」が付かないところが語源であるとのことである。では、文章での説明は非常に難しいが、「十」とよく似た漢字で、十の二画目をはねた文字、若しくは「寸」の三画目の点がない文字、もっと例にたとえれば「丁」の一画目の横棒を二画目の縦棒が貫いただけの一字の苗字はなんと呼んだらよいのであろうか?「十」ではないというしるしに、二画目の縦棒を撥ねて用いるところが肝要である。この苗字は北海道にたった1世帯存在する方の名前である。行書体では、「木」の縦棒は撥ねる。「木」の文字の両側の払いを除いてできた文字といいわれている。
「もげた木」→「もぎき」「もげき」か、はたまた「えだなし」か判然としなかった。正解は「もぎき」であった。2010年7月18日に放送されたフジテレビ系列の平成教育学院でこの苗字の人物が「もぎき」と名乗って、正しい読み方が判明したそうである。
今日は七月一日、数字の入った苗字を記して拙文を閉じたいと思う。四月一日(わたぬき)、五月一日(あお)、六月一日(うりはり)、八月一日(ほずみ、ほづみ)、八月十五日(なかあき、あきなか)、十一月二十九日(つめづめ)、十二月一日(しわすだ)、十二月三十一日(ひづめ)【参考:インターネット・ニコニコ大百科、エンタメハウス】
伊藤 克之