なんとなく春の訪れを肌で感じられる今日この頃です。身の置き場所が家の中から屋外へと移動する時季でもあります。
一人の男が書店に入り、店員にたずねた。
ー日曜大工に関するいい本はあるかね。
店員は近くのコーナーに行き、一冊の本を持ってきた。
ーこれがお勧めです。とても評判がいいです。これを買いさえすれば、仕事は半分すんだようなものですよ、お客さん。
ー半分すんだようなものね。それじゃ二冊もらおうか!(野内良三)
私たちの施設「ういすたりあ」は、平塚駅から4kmほど離れている。役員会を開催すると、駅からバスに乗ったつもりで歩いて見える役員さんがいる。
ー今日はバスの後を追いかけて歩いてきたので、290円が浮いちゃったヨ!
私は言葉を返して、
「バスの後ではなくて、タクシーの後を追いかければ、1600円くらいは倹約できますよ」と、いつもからかっている。この役員さんの名誉のために記しておきますが、彼はお金を節約することが目的ではなく、自らの健康のために歩いて来所されていらっしゃいます。
昨年暮れ、家族で「ふるさと納税」をやってみた。息子はテレビやカニ、私はビール3箱をいただいた。家内は自らの故郷「都城」に寄付をして牛肉やお茶を自治体からプレゼントしてもらっている。併せて我が家の男性軍のために、焼酎もリクエストしてくれた。我が家に届けられた霧島酒造の芋焼酎の中に「うまいもんはうまい」といったラベルの貼られている焼酎があった。1升瓶いっぱいに貼られたラベルには、宮崎県内の名産が、春夏秋冬に分けてプリントしてあった。
春:青島の真鯛、日向の蛤、鵜戸の雲丹(うに)、〈延岡市〉鯛名の甘海老、〈日向市〉油津(あぶらつ)の甘鯛、清武の日向夏、椎葉の山菜、都井岬の飛魚が絵入りで紹介されていた。長くなって恐縮だが、
夏:〈西都市〉右松の韮(ニラ)、五ヶ瀬川の天然鮎、佐土原の生姜、青島の旭蟹、新富の苦瓜、〈児湯群〉富田浜の縮緬(ちりめん)、法華嶽の茗荷(ミョウガ)、〈西臼井郡〉日之影の茄子 等々である。
名産品を知るばかりでなく、読めない地名や場所が見当つかないところがあったりして、焼酎を酌み交わしながらの我が家の夕食の会話は大いに盛り上がった。あと秋と冬もプリントされているのだが・・・
家内からは更におまけがついた。父親が教員であったために、転勤も多くあった。そのため「何番目の姉は〈日向市〉目井津(冬の鮪が名産とある)で生まれたのよ、その次の姉は〈西臼井郡〉鞍岡(秋の山女魚が名産)で生まれたのよ」、話は尽きることはなかった。
宮崎県や都城市からすれば大きなPRにはなるし、懐は潤う。私たちからすれば知識が増えるとばかりでなく、良い気分に浸れる。過激な「ふるさと納税」は考えさせられるが、庶民に夢をプレゼントしてくれる「ふるさと納税」は大歓迎である。
伊藤 克之