22日、今日は日曜日。昼間は台風の接近と進路を気にしながら私どもの法人の理事会を開催し、夜は台風情報と選挙の開票状況を知るべくテレビにかじりつき、翌朝は交通状況の確認と寝不足を強いられた、週の始まりであった。
夜半になるとテレビでは立候補者の選挙事務所での当選を祝う万歳三唱が各チャンネルで映し出されていた。
過日の「天声人語」によれば、「万歳」は天皇を祝賀の場に迎える際に民衆が一斉に発する言葉として考えられたものであるらしい。当初は「奉加」三唱が候補に挙がったが、発声練習をさせてみると「ほうがあ、ほうがあ」が「阿呆が、阿呆が」に聞こえてしまうらしい。これは宜しくないということで「万歳」になったとのことである。こうして生まれた「万歳」が、なぜ国会の解散時に発せられるのであろうか?
国会・衆議院が解散されると公示を経て選挙戦に突入する。この経費が600億円とも700億円とも言われている。これも我々の税金から賄われている。解散権を持つ首相はこの点を良く考えて、大義のない解散は軽々に行ってもらいたくないものである。
著者は忘れてしまったが、「お笑い総選挙」という著書にはこのようなことが書かれていた。立候補者は選挙ポスターに相当神経を使っているらしい。先ず神(髪)に見放されてしまうためハゲ頭のポスターは使わない(一部の例外はあるが)。そのため髪の毛を増やし、目を大きくし、顎を細くする等の修正を加える人もいるらしい。過去には数十年前の写真を使った人もいたらしい。
また、選挙カーでは選挙運動をしてはいけないが、停止中の演説と走行中の連呼だけはしてもいいことになっている。そして警察は選挙事務所に出入りしている人物をほぼすべて把握しており、投票日が近付くにつれ候補者はスリムになり、内勤スタッフは大量の差し入れによって太っていく。
2004年の沖縄県北中城村の村長選挙には同姓同名の二人が立候補した。現職の喜屋武薫氏と新人の元村議会議長の喜屋武薫氏である。二人を区別するために選挙管理員会は前者をキャン村長、後者を議長カオルとして区別したという。しかし、当選したのは新垣邦男氏であった。
新聞等の選挙の「当落予想」には、「A氏とB氏は横一線で並んでいる」「A氏に勢い、B氏猛追」「支持広がる」「独自の戦い」「A氏とB氏が横一線、C氏苦戦」等の語句がよく見受けられる。「A氏とB氏が横一線」とは、A氏、B氏はほぼ同じ支持を得ているが、誤差の範囲内でA氏が優位に立っているとの意味。「A氏に勢い、B氏猛追」とは、A氏とB氏の間には相当な距離があり、B氏は猛烈な勢いで追う必要があるとの意味に解釈するのだそうである。
「支持広がる」とは、所属政党など本来の支持基盤はほぼ固めきり、他の政党支持層にまで支持が広がっていることを指すのだそうである。
そして「独自の戦い」とは、いわゆる泡沫候補や自民対希望、自民対立憲民主等の一騎打ちの谷間で、ごく少数の得票しか見込めない、問題外の候補を指すのだそうである。
「A氏とB氏が横一線。C氏苦戦」との表現は、新聞社本社の調査データーのままならA,B,C,の順に優勢なのだが、地元の細かい事情を加味した支局の情勢分析ではB,A,Cの順であることを意味するのだそうである。
さて、皆さんが指示された候補者は「万歳」をなさったのでしょうか?
伊藤 克之