2月3日で、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンス」の横浜帰港から1年が経過した。この間、新型コロナウイルスの感染者は40万人寸前という数に上り、死者は6千人を超えた。
1年を超えるコロナ禍に、社会・経済は一変しコロナウイルスに立ち向かう我々のストレスは噴火が近い活火山のマグマのように溜まりに溜まっている。
そんな中、一服の清涼剤となる「サラリーマン川柳」(第一生命保険)が新聞紙上を飾った。
「会社へは 来るなと上司 行けと妻」
新型コロナウイルス感染者の蔓延で外出を抑制され、さらにリモートワークで在宅の時間が増えたサラリーマン家庭の様子が手に取るようにわかる句である。
このように、GO TO・・・ キャンペーンが鳴りを潜め、在宅での時間が長くなっている家庭において大切なのは、いつも変わらぬ「夫婦愛」「夫婦の絆」なのかもしれない。
夫婦の在り方を考えさせられる川柳を詠んで、私は何故かテレビのない時代でラジオが唯一の楽しみであった小学生時代に聞いた、こんな浪曲の一節を思い出した。
「妻は夫をいたわりつ、夫は妻に慕いつつ、頃は六月中の頃、夏とは言えど肌寒し・・・」
多少歌詞は違っているかもしれないが、浪曲好きのお父さんを持つ同級生がよくうなっていた。私は今日まで広沢虎造の浪曲とばかり思っていたが、ウィキペディアによると、1875年ごろ書かれた原作者不詳の浄瑠璃であり、浪花亭綾太郎が謡う名調子で一躍有名になった「壷坂霊験記」の一節であった。 あらすじは以下のようである。
盲目の沢市は、妻のお里が明け方になると出かけていくのに気づき、「男ができたのでは」と疑い、妻を問い詰める。お里はこの三年間、沢市の目が治るようにと壷阪寺の観音様に願掛けに行っていたと打ち明ける。邪推を恥じた沢市は、お里と共に観音参りを始めるが、目の見えない自分がいては将来お里の足手まといになると考え、満願の日にお里に隠れて滝壺に身を投げる。夫の死を知り悲しんだお里も、夫のあとを追って身を投げてしまう。二人の夫婦愛を聞き届けた観音の霊験により奇跡が起こり、二人は助かり、沢市の目も見えるようになる。
今にあっては、稀にみる夫婦愛であり、家庭円満の秘訣はここにあると思っている。
「いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦」
「この頃は 話しも入れ歯も かみ合わず」
「妖精と 呼ばれた妻が 妖怪に」
「恋かなと 思っていたら 不整脈」 (いずれもSNSシルバー川柳)
話はがらりと変わるが、コロナ禍の影響もあって帝国ホテルが客室の一部(99室)を「帝国ホテル サービスアパートメント」として長期滞在者向けに貸し出すそうである。因みに料金は30泊で36万円程。かつては「吾等のテナー」と呼ばれたオペラ歌手の藤原善江さんや山田五十鈴さん等が長期滞在していらしたことは有名であるが、私のような凡人は「果たして如何ほど支払っていらしたのか?」と、すぐそちらの方に気が行ってしまう。
今は昔。昭和45年、私は東北の県庁所在地にある医科大学に助手として奉職したが、その時の教授がやはりホテル住まいであった。当時聞いたとこでは、教授の1カ月の支払いは約100万円ほどであったとか。因みに、当時は日産自動車の「サニー」が約100万円程度で購入できたと記憶している。
夫婦愛から話題が大分逸れてしまったが、話しを今に戻そう。私たちの青春時代に憧れたスターに「若大将」と呼ばれ、一世を風靡した加山雄三さんがいる。2020年8月末、加山さんは「誤嚥」で救急搬送された。119番通報を受け、救急車が搬送に向かった先は東京・中央区のマンションと言われているが、そこは「ケアハウス」であったという。なぜならば、2019年11月、脳梗塞を発症した加山さんは、世田谷の豪邸からケアハウスに転居していたのである。
ケアハウスがどのような施設かを学び、奥様とお二人の老後を考え、愛する奥様への負担を少しでも軽減しようと考えた加山さんの決断は、立派な夫婦愛と言えるのではなかろうか。週刊誌・女性セブンよりこの情報を得て、あえて「ケアハウス」というものに興味をもっていただきたく、また「ケアハウスういすたりあ」のPRを兼ねて、ホームページに投稿させていただいた。
伊藤 克之