巷では師走の喧騒が日毎に増しています。一か月前までは「ういすたりあ」の近くにある県営横内団地メインストリートの銀杏並木も見事な黄金色の葉をつけていました。ですが、今はすっかり葉が落ちてしまい、年の瀬の寂しさを一層掻き立てています。県営横内団地は昭和43年から45年にかけて建設され、50棟1360戸の戸数を有する、神奈川県でも最大級の団地です。この団地建設の2年前、昭和41年に神奈川県では「いちょう」を「神奈川県の木」として制定しています。
私は、これを記念して団地のメインストリートに数十本の銀杏の木が植樹されたのではないかと思っています。横内団地の東方に位置する入り口から西方の「みさと橋」のある外れまでは約500mの真直ぐの広い道路ですが、天気の良い寒い朝、その両側に植えられた大木の銀杏並木の中央から西側に見える秀麗富士山を望む景色は素晴らしいものです。
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私は週に何回かデイサービスセンター利用者さんの送迎を行っていますが、この業務に携わらなければ、この銀杏並木の間から見える富士山の素晴らしい景色に出会えなかったし気づかなかったと思っています。まさに役得です。運転手としてまだ新米ですが、この仕事も奥が深くて、いつも新しいことの発見、思考錯誤の連続です。一方通行の多い道路を如何に安全に、最短距離で運行するか? 足の弱い高齢の利用者さんのために送迎車をどこに付けたら良いか? そしてそこには段差はないだろうか?
車内にはBGMあった方が良いのかしら、しかし利用者さん同士のお喋りの邪魔にならないだろうか? 車中の温度は?
運転中に耳にする利用者さんのお話も非常に勉強になります。「デイサービスに行くと一日が楽しい」「食事が美味しい」「ういすたりあの食事で栄養をつけている」「ういすたりあの献立に合わせて自宅の献立を考えている」等々貴重なお話をいっぱい聞くことができます。中には「今日はういすたりあに行く日だから、生ごみを出す日だね!」とか「長男は忙しくてなかなか孫の顔を見せに来てくれないけれど、次男はよく来てくれるのよ」と、垣間覗える一抹の独居の寂しさ。「こんな私でもデイサービスと医者通いで結構忙しいのよ。あそこのお医者さんの出す湿布薬は効かないけど、ここの先生の薬はよく効くよ」本当に賑やかな車中です。
ある時、送迎車中で添乗している職員が利用者さんに向かってこんなことを言っていました。
「今日は銀杏並木と富士山が美しいですね! 皆さんの今日のイチョウ(胃腸)は大丈夫ですか?」
車中の利用者さんは「?????」
職員が可哀想なので、代わりに私が答えてあげました。
「皆さん、いイチョウし(良い調子)だそうです」
伊藤 克之